シートチューブ内径リーマ加工

当店を利用してくださっているお客様からのご依頼です。

GIANTのフルサスMTBをネットオークションで落札した所

シートポスト(正しくはドロッパーシートポスト)が充分に入らないとの事でした。

 

GIANT程の一流マスプロのフレームでもそんなことあるのか?と思いましたが、

実際のモノを見た所、ちゃんと内径を整えるリーマ加工はされていました。

つまり、溶接後にひずんだ内径を修正する加工はされていてシートポストも

大丈夫なレベルまで入っている。

 

失礼なことかもしれませんが、問題はコレを持ち込んだお客様の体格にありました。

こちらのお客様は男性としては小柄で、小さめのフレームサイズを選んでも

シートポストがかなり下がらないと乗りにくいという事だったのです。

 

上の写真はお客様が持ち込んだ時のシートチューブ内部の写真です。

このMTBはシートチューブがくの字に曲がっているため、もとよりシートポストは

ある程度の所までしか入りません。

しかも、曲がった部分にはリンクプレートのボルトが通るボスが横に貫通していますので

内径を修正できるのは、その少し上までとなります。

加工前のシートポストを限界まで下げたところです。

GIANTのロゴが全体見える位の深さまでは出荷時に整えてくれているみたいです。

 

コレが今回の加工で使う工具”アジャスタブルリーマ”です。

 

刃の直径を自分で調整して、こんな風に差し込んで回し

内部を切削していきます。

今回はΦ30.9mmにちょうせいしていきます。

ある程度切削が進んだ所です、削れた所と、その奥の未切削の部分で

段差が出来たのがわかりますね。

一旦止めてシートポストをさしこんでみます。

Tの文字が半分見えなくなりましたが

まだ10mmも掘り進んでません。

まだやります。

削っては確認を数回繰り返し、なんとかNの文字ギリギリまで入るようになりました。

もうアジャスタブルリーマの先端がボスのとこまで達していますのでココが限界と判断

しました。

お客様の希望では25mm下がればうれしいとの事でしたが、そこまではいかず、

だいだい15mmから20mm程度にとどまりました。

 

加工後のアジャスタブルリーマです。

結構削れてますね。

今回はアルミフレームでしたので比較的削りやすかったですね。

きれいに掃除し、防錆スプレーを吹き付けてしまいます。

高価な工具ですので大事にしています。

当然削れたアルミがBBシェル内まで落ちます。

BBの上にも降り積もってます。

コレをきれいに掃除して組み直して完了です。

 

マスプロフレームにはあまり必要とされる事はありません。

聞いたところによると、GIANTはコンセプトショップのGIANTストアで販売したフレームには

納車整備でリーマを通す事がマニュアルとして決められているようです。

今回もしっかりされていましたが、深さが充分ではなかったというだけです。

 

小さなブランドのハンドメイドフレーム等ではときどき”ハズレ”な物もあり

こういった加工が必要になります。

さて、話は変わって前回のブログの最後でも触れた、当店始まって以来最も緊張する仕事、慎重に進めています。

要はコレが全塗装から帰ってきたわけです。

当店初のカスタムペイント、しかもMERIDAの最新型の高級フルカーボンCXフレーム

組み込まれる部品も、今まで扱った事の無い高級パーツ。

K様、だいぶ待たせてしまっていますがもう少しお待ちください。