数カ月前から溜まっていたハンドビルドホイールのご依頼、パーツの入荷が最近ようやくあって順番に組み立てて言ってます。
どこのメーカーも生産が全く追いつかない状況で、ウチの様なオーダー組みが多いショップでは、ほとんどの部品が揃っても何か一つが揃わないので作業ができないというご依頼が沢山あります。
今回は、スポークが中々入らなくてお客様には長期間まっていただいたのですが、
まず最初に言っとかなくてはいけないのが、
”変わったものを頼んだら結果長く待つようになるのは、どのような状況下でも同じ”
という事なのです。
今回は、お客様のこだわりで通常ラインナップに無いスポークを
問屋さんに無理言って取り寄せてもらった結果、納期が長くなりました。
まず最初は、昨シーズンからシクロクロスレースに挑戦されたM様ご依頼の
超軽量決戦用フロントホイール(フロントのみで様子を見るそうです)
皆さんご存じのように、今シーズンはシクロクロスだけでなくどの競技も
開催が殆どありません。
挑戦開始から1シーズン以内でマスターズのトップカテゴリーCM1まで昇格し、
今シーズンは本格チャレンジという矢先にこの状況・・・
行き場をなくしたエネルギーは新機材購入の方へ行っちゃった(笑)ようです。
仕様
ハブ:シマノHB-RS770 28H
リム:DTスイス XR331 700C 28H
スポーク:Pillar ダブルバテットスポーク 2.0/1.6/2.0mm Jベンド ブラック(特注品)
ニップル:DTスイス プロロック スクオルクス アルミニップル ブラック
ニップルワッシャ―:DTスイスリム付属専用品
重量:680g程度?
お次は、地元のI兄弟用のオールロード用のホイール
元々弟さんのDTスイスの完組ホイールGR1600についていた前後ハブ(ストレートプルスポーク用)に、お兄ちゃん用に以前組んだ手組ホイールから
DTスイスのリム RR421 db Asymmetricを組み合わせたものになります。
そしてスポークは特注のPillar ダブルバテットストレートプル 2.0/1.6/2.0mm
このストレートプルでバテットスポークでブラックという条件
マーケットで手に入らないんですよね・・・・
今回はPillarの代理店YURISさんに取り寄せて頂いたのですが、
YURISさんでも通常ラインナップではないので
200本単位で取り寄せています。
仕様
ハブ:DTスイス GR1600 spline25完組ホイールに使用されているハブ(品名不明)
リム前後:DTスイス RR421 db Asymmetric
ニップル:DTスイス プロロック スクオルクス プロヘッド アルミ ブラック
スポーク:Pillar ストレートプル ダブルバテットスポーク 2.0/1.6/2.0mm ブラック
ニップルワッシャ―:DTスイスリム付属専用品
重量前:708g 重量後:838g
スポークテンション(平均値)
前左側:82kgf 前右側:83kgf
後左側:72.9kgf 後左側112.1kgf
キラキラポリッシュシルバーのこのホイールは
シングルスピードバイクが好きなH様ご注文のFix/Free両用シングルスピードホイール
MADE.IN.USAのphillwoodのハブを使ってのホイールは
誉自転車では初の組み立てになります。
同じくphillwoodのシングルバテッドスポークの首側が直径Φ2.3㎜なこともあって
わりとハブ付近の合成がガチガチに固められています。
組みにくかったです(笑)
ポリッシュのPhilwood lowflange track hubがカッコいいですね。
良いハブ特有のぬちょ―とした回転がエモい・・・
MADE.IN.USAスモールメーカー特有の
いい意味で洗練され過ぎない感じが大好きです。
組み合わせたリム
H plus sonのARCHETYPE(アーキタイプ) 700Cのポリッシュ
もシンプルなグラフィックがいいですね。
上の二つのホイールで書いたような仕様は書きません!
こういったホイールに重量だの何だのは野暮というもの
数字じゃない、心で感じろといった感じ
個人的に自転車はシンプルな物が好きです、
シングルスピードが好きな人増えて欲しいなー
最後に紹介するのは、
こちらYURISさんのオリジナルブランド"FORMOSA"を
ハブ、リムに使った27.5インチMTBホイールなんですが、
ウチで手組するホイールとしては初のカーボンホイールになります。
「4年近くも店やっててカーボンリムで手組みは初めてって、どんだけ信用されとらんのや(笑)」って思いますが現実それが当店のレベルなんでしょうね・・・
もっと精進します。
使用したFORMOSAのカーボンリムはこの外幅42㎜/内幅35㎜の
+規格にも使えるワイドリム”AM42”です。
流石この太さのカーボンリム「剛性の塊」といったイメージです。
それなのに当然軽い(公表値420±20g)
そして仕上げも素晴らしい!
ロゴがシールではないのも、組み上げで振れを取る時に
シールの厚みを計算に入れなくていいのでいいんです。(コレは手組多くする人にしかわからんやろね)
スポークホールが4㎜振ったオフセットリム、
リムサイドはフックレス構造のチューブレスレディ専用になります。
チューブレスレディ専用と言っても、チューブレスレディ用のタイヤにチューブを入れて使うのは普通にOKです。
チューブドタイヤは・・・保証しかねます。
FORMOSAのMTB用カーボンリムは、他にもたくさん種類がありまして
今回使ってみて凄く好印象だったこともあって、
次自分のMTBのホイールを組みなおすなら
FORMOSAカーボンリムでいこうと思ってます。
(一つ細いAM37が最有力候補です)
組み合わせたFORMOSAのMTBブーストハブ
コスパも良く、整備もしやすい良いハブです。
フリーのラチェット数は1周80ノッチだったと思います
(うる覚えです、間違ってたらすみません)
メーカーによってはとんでもないノッチ数のハブも出てますが
いつから80ノッチのハブがこんなに安く手に入るようになったんでしょうか?
というか80ノッチもあって足りないなんて言う事はあり得ないと思うんです。
上級者でも十分に満足できるハブだと思ってます。
仕様
前後ハブ:FORMOSA MTBハブBoost 32H シマノ11Sフリー
前後リム:FORMOSAカーボンリム AM42 27.5インチ
スポーク:Pillar PSR14 ブラック
ニップル:Pillar MV14 ブラック
ニップルワッシャ―:Pillar PW7542
前輪重量:838g
後輪重量:986g
スポークテンション(平均値)
前左側:79.38kgf 前右側:78.57kgf
後左側:66.82kgf 後右側:85.75kgf
最後にカーボンリムについてですが、
やはり高価な商品になります。
今回使用したFORMOSAは税込54000円ですが、これでも破格に安いと言えます。
ウソだと思うなら、有名メーカーのカーボンリムの値段を調べてみてください。
こんな高いリムで組む必要があるのかと言えば、人によるとおもいます。
ただ、「必要性は人による」でも「効果は万人にある!」と断言します。
今回手組していてアルミリムで組んだ時との、ホイールの剛性感の違いには
正直ビビりました。
よく勘違いされている方がいるのですが
スポークテンションが常識的な常用範囲内にあるなら
「ホイールの剛性はリムの剛性に最も大きく依存します。」
スポークをガンガンに張って剛性を上げるというのは
ほんの微調整レベルです。
コレは手組で組んでいる人は、感覚でわかるのでほぼ同意してくれるだろうと思います。
あとカーボンという素材ですが、同じ程度の幅、重量のアルミリムと比較した場合、
カーボンの方が確実に強度があります。
アルミリムなら凹んでしまうようなリム打ちにもカーボンリムなら変形なく耐えてくれることもあると思います。(もちろん絶対に壊れない等という事はあり得ませんけど)
インスタやFBのSNSの方でも書きましたが、
MTBライダーの方で何回もアルミリムを凹ましたり壊したりして
そのたびに費用が発生してしまっている方は、思い切ってカーボンリムを試してみるのもいいかもしれません。
壊れにくさだけでなく、
修理間に発生してしまう「本来なら楽しめる時間の損失」を無くしたり、
軽いうえに、ガンガン攻める事ができる走行性能も手に入ります。
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