2月末くらいから続いていた繁忙期も先週くらいでピタッと終わり、急に暇になった誉自転車です。
あまりに急激に暇になったので、ジョイコンぶっ壊れるまで昼間っからスプラトゥーン3やりまくってた誉自転車です。
本日任天堂に修理に出しました(悲)
忙しいときのイライラからは解放されましたが、あまりに急激にピタッとやんだので
それはそれで不安になってます(笑)
さて、忙しい間にこなした仕事を紹介していきたいと思います。
2年前に販売したTransition SPURのオーバーホールのご依頼をいただきました。
オーナーのWさんは、ウチでマウンテンバイクを購入したお客様の中でおそらく一番熱心に乗られているお客様です。
何度も一緒に乗りましたが、一人でも自分から乗りに行ってくれている数少ないお客さんです、自転車の傷や部品の消耗具合からもしっかり乗ってくれているのが伝わってきます。
フルサスのMTBは、ハードテールとは違いリヤサスやリンク周りのベアリングなど
どうしても定期的にメンテナンスするべき場所があります。
当然その分維持費用もかかります。
フルサスMTBを販売するものとして避けることができない、このお仕事ですが
そんなに数をいただけることのない仕事だったりもします。
一台のフルサスMTBを完全にオーバーホールするのって大変な量の仕事です。
長くなりそうなので何回かに分けてお伝えしてみようと思います。
まずは、バイクの首から前に当たる部分
フロントフォークとフロントホイール編になります。
ちなみにこんかいのOHではブレーキはほぼメンテナンスしてません。
ブレーキに関しては、以前からちょこちょこっとメンテしてきてたので
今回はノータッチで良いという判断からです。
本来バイクそのもののオーバーホールという話でしたら、
パッド残量の確認(場合によっては交換)、ブレーキフルード交換はする事になります。
フロントフォークを外したら取り出せるヘッドベアリングです。
ケーンクリークのベアリングが採用されていました。
ヘッドの上側は大丈夫でグリスの詰め直しのみしておきました。
下側がダメでした、グリスが抜けた後若干の水が入ったようで
少しゴリゴリ感がありましたので、今回は下側のみ新品に交換しました。
2021SPURのX01グレード完成車についてくるフォークは、ROCKSHOXの
”SID Ultimate”
Φ35mmインナーチューブのダウンカントリー用フォーク
ぶっちゃけ高級品。
ダンパーにはこのモデルにしかつかない”チャージャー・レースデイダンパー”
が採用されています。
このダンパーのメンテナンスは誉自転車では初ですね。
今回のメンテナンスはメーカーで言うところの”使用200時間ごとのメンテナンス”になります。
必要な交換部品全てがセットになったキット(上の写真のビニールに入っている物)が販売されていますので、素直にその内容品は全部交換していきます。
ダストワイパーとフォームリングも交換です。
新品のフォームリングにボトムケース内に入るオイルと同じオイルを十分にしみこませます。新品のダストワイパーの内側には最初からグリスが仕込まれてますが、
ウチでは追いグリスして交換します。
その時のグリスはスラムバターもしくは、ロックショックスのダイナミックシールグリス、またはもし持っているならスリックハニーあたりが良いと思います。
(スリックハニーって最近聞かないね、今でも買えるんだろうか?)
因みにダストワイパーとフォームリングの交換、ボトムケース内の掃除、オイル継ぎ足しの作業は、メーカー的には使用50時間ごとになってます。
ですが、そんな真面目にメンテナンスする人はまずいませんし、実際私もそんなにしなくてもいいと思います。
年1回シーズンオフもしくはシーズン初めにでも、フォームリングの掃除と再注油
ダストワイパー内の掃除と新しいグリス塗り、ボトムケース内のオイル交換or
注ぎ足しくらいで十分です。
そして、2~3年に1度くらい今回する200時間メンテナンス(オーバーホール)しとけば全く問題ありません。
今ROCKSHOXやFOXが採用しているフランジレスタイプのダストワイパーは打ち込む深さが決まっていてそれに対応した工具にセットして打ち込まなければいけません。誉自転車にはインナーチューブ径Φ32~36mm用までなら準備があります。
(Φ38mm用は必要になれば用意する予定です。)
エア室内部のピストン関連の部品とトップキャップです。
これらについているシール部品も全部交換です。
これがSID Ultimateにだけに採用されているチャージャー・レースデイダンパーです。
いわゆるブラダー式ですが、XC用に軽量化がされているようです。
当初これをバラすことになるんだろうなと思ってましたが、
ダートフリークさんのはなしによると、チャージャー・レースデイダンパーは分解不可になっているようで、メンテナンスできることは内部のオイルの抜き替えのみだそうです。
店としては楽できていいかな(笑)
ダンパー上部にオイル入れ替え用のポートがありまして
そこから一旦古いオイルを抜いた後、専用のシリンジに新しいオイルを入れて
ポートにセット、内部に入れながらエア抜き(真空引き)していきます。
やり方は本国サイトからメンテナンスに関して調べれば大抵探せますが、
説明文も音声も全部英語です。
ダンパーもエアピントンもスタンチオンチューブの中に元通り戻せたら
後はいつも通りと言いますか、どのメーカーのサスでも同じようなやり方でボトムレッグ取り付けてサスペンションのオーバーホールは終了です。
サラッと書いてますが、今回のような初めてメンテナンスするサスペンションの場合、構造を調べたりしながら慎重にしますので7~8時間くらいはかかったと思います。高価な製品ですのでね無理やり引っ張ったり衝撃を与えたりは、なるべくしたくないです。
そしてフレームにフォークを取り付けたら終了といった感じですね。
一応見れるとこは全部見ておくとお話ししていたのでフロントホイールも見ます
振れなどは後でシーラント交換の時に見るとして、この段階ではベアリングの状態だけ確認しました、ハブキャップを外したらとてもきれいな状態のベアリングが出てきました、DTスイスのハブのシール性能はかなりいいですね、その分キャップ外すの固いですけど。
指で回して回転チェックしましたが全く問題なしです。
まぁ、せっかくですし一応足しておきました。
と、ここまでが作業1日目です。
SPURのオーバーホールは丸3日かかっています。
丸一日かけて首から前のみです。
マウンテンバイクのオーバーホール結構大変なのわかってもらえるでしょうか?
一度経験してるバイクやパーツなら少し違ってきますけど、それでも大変なことには変わりないです。
次回は、2日目リヤサスペンションユニットのオーバーホール編に続きます。
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