前回の続きです。
今マウンテンバイクを組むなら、組むマウンテンバイクがダウンヒルバイクやダートジャンプ等の極端なものでない限り大抵の人はリヤ12速で組みたいだろうと思います。
そうなると現実的な選択肢はシマノの現行XT、SLXくらいかと。
シマノでもXTRは価格的に欲しくても手が出なかったりしますし、
スラムは価格がさらに論外、そのうえ性能的にもシマノが上だろうし、
しばらくは存在価値が・・、といった感じです。
シマノの現行12速で組むなら、それ専用のマイクロスプラインの付いたホイールを用意する必要があります。
がっ、今のところけっこう選択肢が少ないです。
まず、社外(シマノ以外)となると、私の知識の範囲ではマイクロスプラインのフリーボディーを作っているのはindustry9とDT SWISSくらいだと思います。
ですが、DTに関してはリプレイスパーツとしてまもなく発売という状況です。
いち早く対応したIndustry9の方はそれ自体が高級ブランドのため、だれでも気軽に買えるものじゃないです。
なので、一番現実的なのは、シマノの完組ホイール、またはXT・SLXのハブを利用して手組したホイールとなります。
ところで、シマノの完組ってどうですか?
価格も安く性能も悪くない優等生、ですけど嫌じゃないですか?
正直同レベルのコスパと性能を維持できるほかの選択肢があるならそっちを選びたいと私なら思うんです。
この感覚って、私と同じようなグラビティ系のにおいが好きなMTBライダーならわかってもらえると思います。
そこで、今回のFORMOSAアルミリムを利用した少しシマノ臭を抑えた手組ホイールを提案してみようとおもいました。
使用するハブはシマノのXTグレードのストレートプル専用ハブ
前:HB-M8110‐BS
後:FH-M8110-BS
です。
手組なら、手に入りやすいJベントスポーク用の方を使うのが一般的だと思いますが、
ぶっちゃけどうです?
みなさん完組っぽい見た目のストレートプル採用のホイールの方が欲しくないですか?
私自身がそうだったので、このハブで組むことにしたのですが、
それ以外にもちゃんとした、理由があります。
現在シマノの製品ラインナップに、2種類のXTグレードの完組ホイールがあります。
一つは、ストレートプルスポークで組まれたWH-M8100-TLです。
こちらは、リム外幅約28mmと今の感覚では細めのリムを採用したクロスカントリーやマラソン系のレースを意識したモデルになりますので、
オールマウンテン~トレイルフリーライドがメインのライダーには、今いち強度てきに物足りない。
もう一つが、WH-M8120-TLです。
こちらはトレイルなどでのフリーライドも意識したしっかり強度も持たせたモデルで、リム外幅34.7mm/リム高19.8mm/オフセットリム
といったFORMOSAのアルミオフセットリムと非常に近いリムなのですが、
残念なことに、普通のJベントスポークのホイールなのです。
今回のデモ車用のホイールはその隙間を狙った仕様です。
・シマノの12速対応
・ストレートプルスポーク(ただしスポーク数は28のみ)
・オールマウンテン~フリーライドに耐える強度のリム(ちょい+規格対応)
・現実的な価格
これら条件を満たすホイールをコンセプトにしました。
今回のホイール組は苦労しました・・・。
なんせDT SWISSのスポークカリキュレータ―で事前に計算したスポーク長が全く合わない!ハブ寸法データはシマノのオフィシャル数値なので間違いはなく
細かい計測もミスしてません。
理由はわかりませんが、今回のパーツの組み合わせでDT SWISSのスポークカリキュレータ―のストレートプルでの計算だとものすごく長めの数値が出ます。
ですが苦労した分、、適切な数値を出す方法やデータも得られました。
今回のホイールと同じ物を組みたいショップの方いらしたらデータは教えますよ。
さて、組みあがったホイールのデータです。
重量は実測
前:902g
後:1049g
前後合計:1951g
ですが後ろの重量は最終的なものではありません、
最終的にはこの時より右のスポークを1mm、左を2mm短くしたので
その分軽いはずです。
残念ながら母よりこの段階で、「台所の料理計り返して」と言われたので
正確な数値はわかりません。
シマノのWH-M8120-TLと比較しますと、こちらのカタログ値は
前:875g
後:1016g
前後合計:1891g
シマノの方が若干軽いですね。
シマノが軽い一因にこちらはバテットスポークを使っていることが考えられます。
うちのホイールでもストレートプルのバテット使いたかったんですけど、
ストレートプルのバテットって手に入りにくいんですよ。
PAXPROJECTが一応販売してますけど供給が不安定、サピムは手に入るルートではシルバーのみといった感じです。
前回の時同様に計測したスポークテンションでオフセットリムの効果をみてみます。
平均値で
前左:97.1kgf 前右:85.3kgf
左右比 1.138:1
後左:78.6kgf 後右:103.4kgf
左右比 1:1.316
あきらかに前回のノンブーストハブ+Jベントスポークの組み合わせの時より
左右の差が小さいです。
今回はブーストハブだったり、ストレートプルスポークだったり、スポーク数も28本だったりで単純比較は難しいのですが、
シンプルにいいホイールに仕上がっていると思います。
因みにリムがしっかりしているので精度が出しやすく
私程度の技術でもこのくらいまではできています。
最後にどうしても気になるところとして、シマノWH-M8120-TLを比較対象にして
値段の差を見ていきたいと思います。
WH-M8120-TLは前後税込価格で45,403円です。
そして、今回の誉自転車の手組ホイールセットだと
前後税込で51304円(工賃等も込み)になりそうです。
(消費税8%の時の計算ですが)
やっぱり価格に関しても「シマノは偉大」となりましたが、
私はそれでもシマノ完組は気分的に嫌なのと、シマノ12速用でストレートプルで幅広のリムという組み合わせにおいては、現時点で存在価値のあるホイールに仕上がっていると思います。
このホイールは、誉自転車で今制作中(ほぼ完成)のデモ車に後輪側のみ取り付いていますので、気になる方は実物を見てみることができます。
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