もう何週間か前の話ですが、MTB仲間のドロッパーシートポストをメンテナンスさせてもらいました。
正直私も初めての作業でしたので、慎重に構造を勉強しながら作業しました。
作業したのは、誉自転車も取扱っている、サスペンションブランド”ROCKSHOX”の
ドロッパーシートポスト”リバーブ ステルス1X”
フレーム中通しのラインに対応したモデルですね。
コレに限らずリバーブは使っているうちに中のオイルにエアが入り込む症状が出やすいらしく、ネットで調べた程度の知識ですが、そうなると伸ばした時に座るとシートが少しふわふわ動くみたいです、今回もその状態になっていました。
まずはフレームから取り出しリモートレバーとのオイルラインを外します。
そうそう、これレバーからの入力がワイヤーを介して伝わるのではなく、油圧なんです。
何でこんな面倒なシステムにしたものか・・・因みにこのメンテナンスに困るシステムを普通のワイヤー引きにする社外品がBIKEYORKというブランドから発売しています。
取扱いはYURISさんです。
確か税込8000円程度だったように思います。
スコーンと一番長く伸びきった状態にした後、ヤグラの中にあるシュレーダーバルブからエアを完全に抜きます。
このエア圧が、後からでてくるIFP(インターナル・フリー・ピストン)を介して中のオイルに常に圧をかけ続けるって構造みたい。
ロワーポストの底にある留め金具をはずしたらインナーシャフトが引っ張り出せます。
これがIFPチューブの中を上下に動くことが、結果としてシートポストを伸ばしたり、
縮めたりするみたい。
アッパーポストをロワーポストから抜き取るために、トップキャップを外します。
ロワーポストをしっかりクランプするために、写真に写っている汎用バイスと
パークツールのAV-5アクスル/スピンドルバイスを購入しました。
はっきり言って赤字(笑)、好きじゃないとやってられんよね。
ただ、これだけしっかりしたバイスとロックショックスが指定している工具を用意しても
このトップキャップを外すのは相当苦労します。
なるべく傷をつけない為に布テープを巻いたうえで工具つかみ数分の格闘の後、やっと少しづつ動いてくれて外れました。右の写真の白い所が、ネジ部にべっとり付いた緩み止め。
ロワーポストの内部、3つあるスリットはアッパーポストが回らないようにする真鍮のピンが通る溝。
ホイっ、アッパーポスト抜けましたっと。
縮みきった時のショックを和らげるボトムアウトOリング(黒のゴムリング)と
しゅうどう部の油分を切らさないため?のフォームリング。
本来なら新品に交換したいところですが今回はナシ、
掃除のみ。
先ほどの話に出た真鍮のまわり止めのピン。
グリス汚れてます。
掃除して、組み付け時には新しいグリスをしっかりつけます。
本来ならココまで分解するならシールやブッシュは新品に交換しておきたいところですね。
今回は大きなダメージが無いのを確認してグリスを塗って再組み付け。
トップキャップの内側。
ココにもブッシュとフォームリングがありますので掃除と注油が必要です。
インナーシャフト内部のポペットバルブ関連部品の分解です。黒く太い部品の下に見える六角の部分をしっかりバイスにクランプし、上のシルバーのバルブカバーを緩めて外します。
文章に書けば簡単ですけど。多分しっかりした準備をしていないと無理です。
インナーシャフトを傷つければ多分もうアウトです。
六角部分とシャフトの外径の差はほとんどありません、しかもカバーは相当固くねじ込まれてるのです。
はっきり言って泣かされます。
ここを外すと中のポペットバルブが取り出せます。
このバルブの先端にあるオイルの通り道は、普段はインナーシャフトの先端にあるピストンの中にかくれているんですけど、リモートレバーの入力で下から油圧で押しあけられますと、ピストンの上に押し上げられてIFPチューブ内でオイルの移動が出来るようになります。
レバーを離せば、またピストン内部に戻りオイルの移動をできなくする。
コレがシートポストを任意の高さに変える構造の肝になるみたい。
(間違ってたら遠慮なくコメントとかで教えてください)。
インナーシャフトをアッパーチューブから取り外すためにインターナルシールヘッドをはずします。やぐら部分又はアッパーチューブをクランプするので傷つけないように。
空気は最初にぬいていたはずですけど、緩めた瞬間泡だらけのオイルが吹き出てきました。
やはりオイルにエアが入り込んでいたのか、それとも開けた瞬間、中のオイルと外気が混ざったのかは分かりませんけど、この後中から出したオイルの状態を考えるに多分、前者かとおもいます。
分解前に起こっていた症状の原因とも一致しますし。
インターナルシールヘッドを外しインナーシャフトを抜き取ります。
アッパーポストの中にうっすら見えているのがIFPチューブです。
青いアルマイトの部分が先ほども話に出たインナーシャフトピストン。
ハンドル側でリモートレバーを入力すればポペットバルブの先端がココの先端から
「コンニチワ」して、せき止められていたオイルが流れるようになるという事です。
その時のオイルを別の部屋に流れさせるプレッシャーが、縮める場合はライダーの体重、
伸ばす場合は最初に抜いた空気圧という事なんでしょうね。
(重ねて言うけど、間違ってたらゴメン)
銀トレーの中の細い部品、
左から
ロワーポスト
インナーシャフト
ポペットバルブ
です。
アッパーポスト内からオイルを出します。
完全に”泡状”・・・だめだこりゃ。
そりゃフワフワするよね。」
えーと・・・・、
何してるとこの写真だっけ?
完全に忘れました。
IFPチューブを引っこ抜きます。
実際は結構固いです。
写真のようにIFPの下側とIFPチューブ内のオイルの通り道になり穴を利用し、
アーレンキーを引っ掛けて引っこ抜く感じです。
ロックショックスの作業マニュアル的には1.5mmのアーレンキーを使えとありますが、
2mmを使った方がいいです。
1.5mmでは、工具の方がたわんでダメでした。
IFP(インターナル・フリー・ピストン)をアッパーポストから引き出す方法ですが、
メーカーの指定する正規の方法がコレ(笑)
赤○で示したのがIFPね。
コレがエア-とオイルとを隔てる訳なんですけど。何らかの原因で、
使用するうちに少しずつエアーがオイル側に抜けるようです。
一応細かく確認しましたけど、ダメージはありませんでした。
IFPチューブとIFPを綺麗に掃除して、
IFPにはしっかりグリスを塗りたくってアッパーポスト内に戻します。
この時IFPをセットする位置がすごく重要になるようで、
この工具で正確にセットしないといけないようです。
リバーブのタイプごとに位置が違うためメモリにそった高さにセットします。
筒状の工具で、そのままIFPを押し込み、タイプ名の書かれた線の位置でとめる。
そんな感じです。
この位置が狂うと、後からアッパーポスト内にいれるオイルの量がくるってきます。
必死だったんで写真を撮り忘れたみたいですがこの後、アッパー内に
リバーブフルード(専用オイル)をツラ一まで見たし、
空気が入らないように気をつけながらインナーシャフトピストンを締め直します。
シンナーシャフトを取り付けると、オイルがシャフト内にある程度入るようですが、
仏要以上に入らないように抜き取る必要があるみたいです。
その時必要なのがこの工具です。
タイプごとに中に残すオイルの量が違うようで、規定値より多いオイルは抜き取ります。
ほんの微量でしたが抜き取りました。
後はシール類やブッシュにしっかりグリスアップしながら元のように組み上げて完成です。
本体は。
そう!リバーブは他のドロッパーと違い、油圧で入力するという
何のメリットがあるのか分からんシステムを採用してますので、
まだあるんです。
リモートレバーとをつなぐオイルラインは一旦外すと当然エアが入るので、
つなぎ合わせた後、こちらもエア抜きしないといけません。
ポペットバルブの下にあるブリードポートから新しいオイルを注入します。
後輪にリバーブをうまく固定してエアーが抜けていきやすいようにします。
また、ミスした時、車体に漏れたオイルがかからないようにカバーします。
特にブレーキ周りには、雫でもやばいので注意します。
レバー側から出てくるオイルに気泡が混ざらないようになったらライン内のエアーは抜けていますが、今度はレバー内部のオイルを抜きます。
結構コレのコツがわかるまで失敗しました。
ココにエアーが残っているとドロッパーの動きが激シブになります。
実際かなり焦りました。
さあ!完成です。
コレが・・・・・
スコーン!!と伸びて、もう上でフワフワしないのです。
まっ、文章にすると簡単ですよ。
実際は、もう終わったあとグッタリでしたよ。(笑)
という事でドロッパーポストのメンテナンスも、このリバーブに関してはもう出来そうです。
もし、お持ちの物で調子の悪くなった物がありましたら一度ご相談ください。
お値段はまだ確立できていませんが、今回の作業時間から予想するに、
工賃15,000円前後とオイルシール類等の交換部品代になると思います。
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竹肉 (月曜日, 30 11月 2020 17:40)
同じ症状で3年ほど使ってます。
全文、拝見いたしましたが、すでにぐったり。
ご苦労様でした。
これからもだましだまし、使っていこうと思いました。
無念。