夏前位からどういう訳か手組ホイールの依頼をたくさんいただきました。
お仕事が終わってお客様に納品できた物のうち一部を紹介します。
と言いつつ、最初に紹介する上の写真のは自分用に組んだホイールです。
リムは前後Velocityのaileron 650B 28H(このアルミリムかっこいいけどお高い・・)
ハブは大奮発、前クリスキングISO B マットマンゴー28H、
後ろクリスキングISO マットマンゴー 28H、
スポークはPILLERのwing20(翼断面スポーク)ブラック、
ニップルはPILLERのMV14アルミニップル、ニップルワッシャ―もPILLERをつかいました。
誉自転車のデモ車に使用するホイールの為、はっきり言ってビジュアル重視です。
キングのハブとVelocityリムのMADE.IN.USAコンビで自分用のホイールを組むのが目的でした。
それはもうよしとして、誉自転車で手組のホイールを組む時、何の指定もなければ
ニップルはこのMV14アルミニップルを使うと思います。
色が黒とシルバーしか無いの残念ですが、とにかくスクエア部分の精度が良いのと強度が強く、スポークテンションを上げてもなめることなくよく回って調整しやすいのが特徴です。
(アイレットがないリムならスポークニップル使うのが前提ですが)
誉自転車は、自転車の重量などを二の次に考えて組むことが多いですが、
この仕様で前後実測1633グラムでした。
もう少し重いと思ってましたが、Wing20 が効いてるのだと思います。
そして、このホイールを装備したロードプラスのデモ車
もうすぐ完成予定です。
続て紹介するこちらは本当にお客様注文ホイールです。
普段ロバールの高級カーボンディスクホイールを使用しているお客様からのご依頼。
ある程度の性能は追及しつつも、もっと気楽に使えるホイールが欲しかったようで、
希望スペックは
・オフセットリム(ある程度の内幅のあるリム、32Cくらいまではいれば・・・)
・ストレートプルスポーク(できればバテット)
・ディスクブレーキ用
・チューブレスレディ対応
・それなりのコストパフォーマンス
簡単にまとまるとこんな感じだったと思います。
リムはオフセットリムを早くから単品販売しているDT SWISSのRR421dbに決まりました。ロバールがそこそこのハイトのあるリムなので、こちらはロープロリムにしました。
DT SWISSのリムには、プロロック・スクオルクスプロヘッド・アルミニップルと
PHRワッシャーが必要数ついています。
DT SWISSのリムの内底はこのワッシャーがピタッとつくようにできていますので
必ずこれを使うようにした方がいいです。
そしてこの長い名前のアルミニップルがまたいいです!
見てのように外周部側がトルクスの形になってます。
専用のレンチを用意しなければいけませんが、
これ絶対にスポークテンション上がってもなめることありません。
このニップル、単品で買うと結構高いです。
DT SWISSのリムは、このニップルとニップルワッシャ―が付属することをかんがえると、割と良心的価格だとおもいます。
品質は、みなさん知っての通り一流です。
ハブはストレートプル・ディスクブレーキ用かつコスパも重視となると非常に選択肢が少なく困りました。
ホイール組みで有名なPAXPROJECTさんのSTR CXというハブを前後使うことになりました。
実際に届いたハブはおそらくオープンモデルでしょうけど、重量も軽く良い感じでした。
ただ、ニップルの首をひっかける部分がホール状でないのと形状的に寸法が測定不可能なため、スポーク長が実物合わせになったのと、組んでいる途中でポロポロと
スポークが落ちてしまうのが難点でした。(あと供給が安定すればいい商品だと思う)
当初スポークもPAXPROJECTで、バテットタイプのストレートプルスポークを用意する予定でしたのが、納期の関係と正確な長さがわからなかったので、
PILLERのPSR14 ストレートプル・プレーンスポークに変更することに・・・
これが当初の予定通りなら、全体で50gくらいは削れたかも。
今思えば#15に相当するPSR15の方でもよかったかも、
次回テストしたいです。
出来上がったホイールがこちらです。
黒で引き締まった印象です。
重量は前後で1625グラム。
スポークにWing20 やバテットスポーク、またはPSR15を使えば
1500グラム代は確実でしたね。
ただ、24ホールのスポークなのでオフでの使用も考えると、あまり細いのも
どうなんだろう?
悩みどころですね。
今回の注文はディスクローターや、チューブレス用にリムテープも購入していただいたりもあったのですが、純粋にホイールと言える部分までの工賃+部品代は
全部で65,599円(税込)になりました。
これ、スポークをシルバーにすればほんの少しだけ安くなったりしますけど、だいた同じくらいだと思ってください。
最後はMTBのホイールです。
普段使いにも使用するMTBのホイールの制作をお願いされたのですが、
当初、7月発売予定のFORMOSAの新型アルミオフセットリムを使用する予定だったのですが、入荷予定が遅れたため”もう待てない”となり、
すこし高いですがVelocityのBlunt35が形状的にも似ているので、使用することになりました。
Blunt35はオフセットリムではなく、通常のリムセンターにスポークホールがある従来型のリムです。
今後組む予定のオフセットリムとの比較の為、組み上がり時に色々測定しデータ取りさせてもらいました。
リムが当初と変更になったため、用意していたピラーのスポークは使えなくなり、
急遽DT SWISSのスポークを必要数取り寄せました。
ニップルはピラーのMV14で問題ないのですが、ニップルワッシャ―はどうしようかとなりました。
左の湾曲したワッシャーがDTの物でRのついたリム内底ならこちらを使うべきです。
右はピラーのワッシャ―、見ての通りの平なつくり(表裏はあり)なのでリム内底が
平たければこちらを使うべきです。
これがVelocity公式のBlunt35のリム断面。
どうやらリムの内底は平らになっているようなので、スポークワッシャーは
ピラーの方がよさそうです。
マウンテンバイクのホイールは振れとりしやすいですね。
お客様自身はハードに使う方ではありませんが、強度的には里山ダウンヒル
程度には十分使えるホイールができています。
Velocityのリムが少しお値段高目のせいで合計で高くなりましたが、当初のリムを使って組めたなら、ハブをシマノのデオーレで抑えたこともあって、
5万円以内でできたかもしれません。
誉自転車では、依頼頂き制作したホイールのデータを蓄積していくことで、同じ・またはよく似たホイールの依頼が来た時、次に生かせるようにしています。
また、それぞれのホイールを組みながら感じたことなどもメモしてリム・ハブ・スポークなどそれぞれ製品ごとに”癖”のようなものも把握していこうとしています。
先週の土曜日に上で紹介したDT SWISSのリムで組んだお客様がご来店されました。
どうやら、お渡ししたホイールをだいぶ気に入っていただけたようです。
このホイールで、日曜日には高松から石鎚ヒルクライムの会場まで自走で応援に行くと言ってましたけど、本気でやったんでしょうか?
コーヒーとチョコレートありがとう!
コメントをお書きください